健康コラム

no.146
テーマ:「雑穀」
2019年4月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

近年の健康ブームの高まりとともに、ヘルシーな食生活に欠かせない食材の1つにもなっている“雑穀”。

ご家庭ではもちろん、外食先でも雑穀の入ったご飯が選べる所も増えつつあります。

しかし、スーパーでは様々な雑穀がミックスされて売られているケースも多く、詳しい種類までは知らないという方も結構多いのではないでしょうか。

そこで今回は、様々な雑穀の種類や栄養、雑穀を使った簡単レシピまでその魅力を存分にお伝えしていきたいと思います。
【1】雑穀とは
雑穀とは、世界の三大穀物とも言われる「米」「小麦」「トウモロコシ」以外の穀物の総称です。

よく知られているものでは、「玄米」「あわ」「ひえ」「きび」「ごま」「そば」「大豆」などが挙げられます。

日本における雑穀の歴史は古く、縄文時代の遺跡から「あわ」「ひえ」「大麦」などの種が見つかるなど、日本では紀元前3000年よりも前から栽培されていたことが分かっています。

また、日本古来の書物“古事記”では、「稲」「あわ」「小豆」「麦」「大豆」が五穀として記されています。

江戸中期頃に、玄米にかわって白米を食べる習慣が広まりましたが、多くの人は少量の白米に雑穀を混ぜたものを食べていたようです。

戦後も、多くの日本人の主食は雑穀でしたが、高度経済成長とともに主食が白米へと変わっていきました。

長い歴史の中で、白米を主に食べるようになったのはここ数十年で、それまで私たち日本人の食生活をずっと支えてきたのは雑穀だったということですね。
【2】様々な雑穀とその特徴
ここでは、様々な雑穀とその特徴についてご紹介していきたいと思います。


【あわ(粟)】

縄文時代から栽培されていた“最古の穀物”と言われており、風味が淡いことから「あわ」とつけられたそうです。

白米と比べてビタミンB1が多く、食物繊維や鉄、マグネシウムも豊富に含んでいるため、腸内環境を整える効果や貧血予防にも期待が出来ます。
粟おこしの材料としても使われていますよね。

クセがないので、米と一緒に炊くだけでなく、様々なお料理に混ぜて使うことも出来ます。

【ひえ】

あわと同様、縄文時代から栽培されていた“最古の穀物”と言われています。

“冷え”が名前の由来で、寒さに強いのが特徴です。 

マグネシウムや鉄、カリウムなどのミネラル、不溶性食物繊維が豊富に含まれており、善玉コレステロールの値を高めたり、脂質代謝を助ける効果が期待出来ます。


【きび(黍)】

桃太郎に出てくるきび団子でおなじみのきびですが、成長すると黄色い実がなることから「黄実(きみ)」→「きび」と呼ばれるようになったそうです。

最近では、黄色いものだけでなく白いものや褐色のものも売られています。

必須アミノ酸であるメチオニンが含まれ、肝臓の老廃物や毒素を体外へ排出し、代謝を高めてくれます。

ミネラルや食物繊維も豊富で、含まれるポリフェノールは抗酸化作用に優れています。

比較的大粒で、コクや甘みが強いのが特徴です。

【アマランサス】

古代インカ帝国では、インディオ達の主食とされており、栄養価がとても高いことから“スーパーグレイン(驚異の穀物)”と言われています。

また、世界保健機構(WHO)では、「未来の食物」と評価され、スーパーフードのひとつとして大変注目されています。

さらに、その栄養価の高さからNASAが宇宙食として研究しており、スペースシャトルで栽培実験が行われたこともあるそうです。

その栄養価の高さと、グルテンフリーでアレルギー性が低いことも注目される大きなきっかけになったのではないでしょうか。

高たんぱくで、アミノ酸のバランスも良く、米などで不足しがちなリジンを豊富に含んでいます。

他にも亜鉛や鉄、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類、ビタミンB6や葉酸などのビタミン類、食物繊維については水溶性と不溶性の両方を含んでいます。

種皮が柔らかく、全粒で食べられるため、豊富に含む栄養を余すことなく摂取することが出来ます。

【キヌア】

キヌアは南米コロンビア、エクアドル、ペルーなどのアンデス山脈一帯を原産地とし、昔からアンデスの高地に住む人々に愛され“チソヤ・ママ(母なる穀物)”と呼ばれています。

アマランサスと同様に、NASAが「21世紀の主要食」と発表したのをきっかけに大変注目されるようになりました。

たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、必須アミノ酸をバランス良く含んでいるところが最大の特徴です。

良質なたんぱく質を摂取出来ることから、ベジタリアンからも重宝されているようです。


雑穀にはまだまだ他にも魅力的なものがたくさんあり、ここでは一部しかご紹介出来ないのがとても残念です。

似ているようで、よく見るとそれぞれにちゃんと個性があって、知れば知るほど食べてみたくなりませんか…?

最後の項目では、そんな雑穀を使った簡単レシピをご紹介していきたいと思います。
【3】雑穀で簡単グラノーラ
雑穀やドライフルーツに甘みを加えて加熱したシリアル食品“グラノーラ”。

最近では、様々なフレーバーのものが販売されており、どれも美味しいですよね。

しかし、市販のグラノーラは少し糖分が気になる…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はそんな方におすすめの、ほんのり優しい甘みの手作りグラノーラをご紹介したいと思います。

ではさっそく作り方です。

【材料】
☆オートミール:30g
☆キヌア:大さじ1
☆黒米:大さじ1
・クルミ、アーモンド:20g
・ごま:小さじ1
◎きなこ:小さじ1
◎ココナッツオイル:10g
◎ハチミツ:大さじ1
・レーズン20g

【作り方】

①フライパンに☆を入れて、乾煎りする
②クルミ、アーモンド、ごまを加えてさらに煎る
③ボウルに◎と②を入れて、混ぜ合わせる
④天板に③を広げて、160℃に熱したオーブンで15分焼く
⑤レーズンを加えて混ぜたら完成


雑穀やナッツ類は、レシピ通りでなくても
お好みでアレンジしていただいてもちろんOKです。

ココナッツオイルが無い方は、オリーブオイルでも代用可です。

ザクザクとしっかりした歯ごたえで、小腹が空いた時の間食にもおすすめです。

私もグラノーラはよく自分で手作りしていますが、作り方や材料、加熱の時間によっても見た目や風味が変わって、作るのも食べるのも、どちらもとても楽しめます。

ヨーグルトにグラノーラと少量のハチミツをかけて食べるのが私のお気に入りです。

また、可愛らしい瓶や容器に入れて置いておくと、それだけでとっても素敵なインテリアになりますよ。

ぜひ試してみてください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
日本クリニック本社のすぐ近くには、学問の神様で有名な北野天満宮があります。

その北野天満宮の向かい側に、粟餅で有名なお店があるのですが、なんとそのお店は、創業330年以上のとても歴史のあるお店で、いつも多くのお客さんでにぎわっています。

柔らかいお餅の中にもちゃんと粟の粒々があり、食感も味も絶品ですよ。

京都に来られる際にはぜひお立ち寄りください。

また先日、雑穀についてもっと色々知りたいな~と思い、雑穀のセミナーを受けに行ってきました。

雑穀についてのざっくりとした知識はあっても、種類ごとの詳しい栄養素の違いや、色・味・香り・食感の違いなど、様々な新しい発見がありとても有意義な時間になりました。

セミナーの後は、みんなで雑穀を使ったお料理をしましたが、雑穀というと、私はすぐに白米と混ぜて炊くというベタな発想になってしまうのですが、そこでは、雑穀を使ってパンやハンバーグ、スープを作りました。

実際に雑穀料理をして気付いたのが、お料理の味を邪魔しないから“案外何にでも合う”ということでした。

むしろ、雑穀の種類によってはプチプチとした食感がアクセントになり、いつもと同じお料理でも少し雰囲気が変わって、新しい楽しみ方が出来るな~と感じました。

中でもやはり私のおすすめは、アマランサスです。
スーパーグレイン(驚異の穀物)と言われているだけあって、とっても栄養価が高く、本当にスーパーなんです(笑)

小さな粒々、あなどってはいけないな~と感心しました。

どんなお料理にも混ぜるだけで簡単に摂り入れることが出来ますので、これを機に、みなさんも雑穀生活をはじめてみてはいかがでしょうか?
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