健康コラム

no.140
テーマ:「いわし」
2018年10月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

10月4日は「いわしの日」です。

ちょうど旬を迎えるいわしは、脂がのってとても美味しい時期です。

昔から「いわし百匹 頭の薬」と言われ、美味しいだけでなく、栄養満点の魚としても知られています。

おいしい、安い、体に良いと三拍子そろっていて、私たち日本人には大変馴染みの深い魚でもありますね。

今月はそんな「いわし」をテーマに健康コラムをお送りいたします。
【1】いわしの色々
いわしは、海面近くを群れになって回遊しており、日本各地の沿岸で広く漁獲されている魚です。

この群れになる行為は、大きな魚からエサにされないために常に群れを作り、その影を大きな魚のように見せかけているそうです。

また、一言で「いわし」と言っても様々な種類がありますが、よくスーパーで見かけるものは、「まいわし」「かたくちいわし」「うるめいわし」など、いわゆるいわしの三大種と言われるものです。

「まいわし」は、体の表面に黒い点々があり、背中が青色に光っているのが特徴です。
刺身や煮物、焼き物、揚げ物など、どんな調理法にも向いています。

「かたくちいわし」は、下あごが上あごより極端に小さいため「片口」と言われ、背が黒いことから「せぐろいわし」とも呼ばれます。
身が少し硬いため、煮干しやごまめ、アンチョビの材料になります。

「うるめいわし」は、目が大きく潤んで見えることからこのように呼ばれ、体に黒い斑点がなく身が柔らかいのが特徴です。
鮮度が落ちやすいため、昔は干物にされることが多かったようです。

あと、意外に知られていないのが、しらすやちりめんじゃこがいわしの稚魚だということです。
みなさんはご存知でしたか?

そんな「いわし」の名前の由来は、陸に揚げるとすぐに弱り傷みやすい魚であることから「弱し(よわし)」が変化したという説や、高級魚ではない意味で「卑し(いやし)」に由来するなど様々な説があります。

江戸時代の書物に、源氏物語で有名な紫式部が、夫の留守中に隠れて好物のいわしを食べていたところ、突然帰宅した夫にそれが見つかり「そんな卑しいものを食べて!」と叱られた。
という記述が残っているそうです。
【2】いわしの栄養
いわしは、血中コレステロールや中性脂肪を減らす働きのあるEPA、脳の働きを良くするDHAなどの不飽和脂肪酸を多く含んでおり、生活習慣病の予防にも効果があると言われています。

また、細胞の生まれ変わりを助け、髪や肌の健康を保ったり、口内炎の予防にも役立つビタミンB2が豊富に含まれています。

ビタミンB2は、脂質の代謝にも関わっており、老化をまねく過酸化脂質の発生を抑える働きがあります。

さらに“泳ぐカルシウム”と言われるほど、カルシウムが豊富な魚としても知られています。

カルシウムは、骨や歯をつくるのに欠かせない栄養素ですが、そのカルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDも豊富に含まれていますので、骨粗鬆症の予防にも効果的だと言えます。

成長期のお子様やご高齢の方には特におすすめの食材ですね。

たっぷり含まれているカルシウムを上手に摂るには、やはり骨ごと食べるのが一番です。

梅干しと一緒に煮込む“いわしの梅煮”は、梅干しの酸で骨まで軟らかくなり、丸ごと食べることが出来ますよ。
【3】いわし缶で簡単レシピ
ここでは、いわしの簡単レシピということで、缶詰を使った簡単トースター焼きをご紹介したいと思います。

【材料】
・いわし缶
・トマト
・玉ねぎ
・とろけるチーズ
・塩コショウ
・オリーブオイル

【作り方】
①たまねぎをお好みの大きさに切り、オリーブオイルで炒めながら、塩コショウで味を整えます。

②火が通ったら、一口大に切ったトマトを加え軽く炒めます。

③②を器へ移し、上からいわし缶とチーズを乗せてオーブントースターで加熱します。
チーズが溶け、少し焦げ目がついたら完成です。

とっても簡単ですよね。

メニューに困った時や、あと一品ほしい!という時にぜひお試しください。

また、炊き込みご飯の具にいわし缶を入れるのもおすすめです。
いつもよりほんの少し濃いめの味付けにすると、おつまみレシピにも!

缶詰ではなく、生のいわしで調理される際には、いわしは金気を嫌うため、包丁は使用せず手開きにしましょう。

また「いわし七度洗えば鯛の味」ということわざがあり、しっかり洗えば生臭さもとれ、さらに美味しくなりますよ。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
近年では、共働きの世帯も増え、お料理も“時短”志向が高まっているように感じます。

そんな時に便利なのがやはり缶詰製品ですよね。

テレビ番組で紹介されたこともあり、特に女性の間で、サバ缶がちょっとしたブームになっています。

売上もどんどん伸びているようですが、サバ人気に漁獲量が追い付いていない現実もあるようです。

そこで、注目されているのがいわしの缶詰です。

先ほどもご紹介しましたように、いわしはとても傷みやすい魚ですので、新鮮なうちに調理して食べるのが理想なのですが、缶詰に加工してあれば、いつでも簡単に使えて便利ですよね。

最近では、かば焼きやオイルサーディンだけでなく、トマト煮やレモン煮などの変わり種もお店に並んでいます。

もちろん、生の新鮮ないわしが食べられると良いのですが、「時間がない」「もっと簡単に」という方は、缶詰を使ったお料理でいわしを楽しんでみてください。
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