健康コラム

no.141
テーマ:「りんご」
2018年11月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

今日から11月です。
秋らしい気候から、徐々に冬の寒さが感じられるようになりました。

さて、今月5日は「いい(11)りんご(5)の日」です。
りんごの主要な産地である青森県によって制定されました。(※)

りんごの美味しい季節、今回はりんごの情報をお届けします。

※11月22日も「いい(11)ふじ(22)」の語呂合わせで“長野県りんごの日”として定められています。
【1】りんごの種類
りんごの魅力のひとつに、品種の豊富さがあります。

その数は世界で約15,000種類、日本だけでも約2,000種類あると言われ、そのうち約40種類が国内市場に出荷されています。

果皮の色や形も様々なものがあり、歯ざわり、味も異なります。

アジアの多くは糖分の多い、甘みのあるものを好むと言われていますが、欧米では硬くて小さく、酸味の強いものを好むなど、地域によっても好まれる品種が違うようです。

現在も品種改良が盛んに行われており、その種類はどんどん増えています。

なかでも珍しい品種をいくつかご紹介します。


●御所川原(ごしょがわら)
青森県五所川原市特産のりんごで、皮はもちろん果肉、果汁、花、枝までもが赤いという世界的にも珍しい品種です。

酸味が強く、硬いことから生で食べるのには適しませんが、ジャムやワインなどの加工品に活用されています。


●ピンクレディー
オーストラリアからきたブランドりんごです。

最大の特徴は収穫直後は酸味が強く、1~2ヶ月貯蔵することで酸味が抜けて食べ頃になるというところです。
貯蔵性が高いため、涼しいところで保存すれば半年先まで美味しく食べられるそうです。

ちなみに名前の由来は同名の女性ユニットと同じく、カクテルの名前からつけられています。


●恋空(こいぞら)
青森県オリジナルの品種で、青森県でのみ生産出荷されています。
りんごの中でも収穫時期が早く、8月のお盆には収穫できます。

映画にもなった同名のケータイ小説から名前が取られており、物語のような甘酸っぱい恋の味を楽しめるりんごとして紹介されています。
【2】りんごは医者いらず?
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」ということわざがあるほど、栄養価の高い果物として知られるりんご。

食物繊維(ペクチン・セルロース)やミネラル、ポリフェノールなどが豊富に含まれる他、消化が良いので胃腸にもやさしい食品です。

風邪の時にすりおろしたりんごを食べた経験のある方も多いのではないでしょうか。

また、りんごに含まれるポリフェノールは総称して“りんごポリフェノール”と呼ばれており、強い抗酸化作用を持つことが分かっています。

りんごを切ったり、皮を剥いたりすると断面が茶色くなるのは、この抗酸化力が関係しています。

りんごポリフェノールが実を劣化させる酸素と表面でくっつくことで、中の果肉の酸化を防ぎ、みずみずしさを守っているのです。

そのりんごポリフェノールのうち約60%を占めるのが、“プロシアニジン”という成分です。

抗酸化作用をはじめとして、
・美白
・育毛
・内臓脂肪軽減
・糖代謝サポート
・抗アレルギー&免疫

といった様々な作用があると研究で報告されています。

最近では生果のりんごとして、初めて機能性表示食品の認可(※)を受けたことでも話題になりました。

※りんご由来のプロシアニジンが内臓脂肪の低減作用に効果があるとして認可

なお、りんごポリフェノールは実よりも皮に多く含まれるため、皮ごと食べたり、皮を厚く剥きすぎないようにするのがおすすめです。
【3】りんごにまつわる雑学
ここからはりんごにまつわる雑学をお届けします。

【その①】
コンピューターのマッキントッシュはりんごの品種名が由来

“マック”の愛称で知られる、コンピューターの「Macintosh(マッキントッシュ)」。
開発者が大のりんご好きだったことからこの名前になったそうです。

本来の品種名は「McIntosh(読みは同じ)」ですが、同名のオーディオ製品がすでにあったため、区別するために「a」を入れて「Macintosh」とされたそうです。

日本では「旭(あさひ)」と呼ばれており、北海道の一部でしか栽培されていない希少な品種です。
宇宙飛行士の毛利さんが宇宙で初めてりんごの皮むきを行う際に使ったのもこの品種なのだとか。

※社名の「Apple」の由来については諸説あり


【その②】
りんごには「和りんご」と「西洋りんご」の2種類がある

和りんごは小ぶりの酸味が強いりんごで、平安時代に中国から伝わったとされています。
食用というよりも、薬や地域の産物、お供え物として栽培、食されてきたと言われています。

明治時代にアメリカから、形が大きく味のよい西洋りんごが伝わると、和りんごの栽培は激減。
現在ではりんごと言えば西洋りんごを指し、和りんごはほとんど作られていません。


【その③】
アダムとイブが食べた「禁じられた実」はりんごではない?

アダムとイブが神の言いつけをやぶり、楽園を追放されるきっかけとなった果物といえばりんごをイメージする方が多いかと思います。

実は旧約聖書のどこにも「禁じられた実」が明確にりんごだとは書かれていないのです。
ではなぜ、世界中でりんごが定着したのでしょうか。

一説によると、ラテン語で「malus」は「邪悪な」を意味する形容詞ですが、りんごも同じ「malus」であるため、取り違えてしまったか、二重の意味が故意に含まれていると読み取ってしまったものとされています。
そのため、「禁じられた実」=「りんご」と表現されるようになったのだとか…。

また、聖書の舞台となった紀元前のパレスチナにはりんごは栽培されていないと言われ、イチジクやアンズ、ブドウを有力視する声もあります。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
9月に青森県の弘前市へ出張に行ってきました。

青森空港から弘前市内へと車で走っていると、道路沿いにりんご畑が続いていて、真っ赤なりんごが実っているのが見えました。
青森に来たのは今回が初めてで、「うわぁ~青森に来たんだな~」と実感がわき、嬉しくなりました。

私は発見出来なかったのですが、青森にはその他にもりんごをモチーフにした街灯やつり革、カーブミラー、マンホールなどもあるようです。

日本一のりんごの産地ならではの風景ですね。

また、弘前市では毎月5日は「りんごを食べる日」として条例化されているそうですよ。

これからの季節、私も美味しいりんごを味わいたいと思います。
そして、りんごの栄養を余すことなく食べるために皮は剥かずに…。
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