健康コラム

no.134
テーマ:「生姜」
2018年4月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

みなさん、春冷えってご存知ですか。

春と言えば、あたたかくポカポカした陽気をイメージしますが、実は、そんな春にも「冷え」が存在するのです。

さらに、寒暖差も激しく、体調を崩しやすい時季でもあります。

そこで、眠った体をシャキッと目覚めさせ、体を芯から温めてくれる食材『生姜』をテーマに今月は健康コラムをお送りしたいと思います。
【1】生姜について
生姜は、ショウガ科ショウガ属の多年草で、「野菜」に分類されます。

原産地は、インドなどの熱帯アジアで、当時は、肉や魚の防腐剤や医薬品として利用されており、インドの伝承医学書の中では、「生姜は神からの治療の贈り物」と記されていたそうです。

その後、日本へは3世紀頃に中国より伝わり、古事記にもその存在が記されています。

生姜は、栽培方法や収穫時期によって、「根生姜」「新生姜」「葉生姜」など、様々な種類に分けられます。

また、大きさによっても「大生姜」「中生姜」「小生姜」と分類され、
日本で栽培されている生姜の約90%が「大生姜」です。

一般的に通年で流通しているのが、茶色くふっくら丸みをおびた「根生姜」です。

香りと辛みが強く、薬味として使われることが多い根生姜は、秋に収穫して貯蔵したものが随時出荷されるので、通年で手に入れることが出来ます。

そして、皮が白っぽく、茎のつけ根がピンク色になっているのが「新生姜」です。

根生姜と違い、収穫後に貯蔵されずに出荷され、スジが少なく、さわやかな辛みが特徴です。

お寿司についている“ガリ”に使われる生姜と言えば分かりやすいですね。

そして、根茎がまだ小さく柔らかいうちに葉が付いたまま若取りしたものが「葉生姜」です。
新生姜と同様に、収穫後は貯蔵しないで出荷されます。

根が白く、茎のつけ根のピンク色が濃いほど良質だと言われています。

生姜は貯蔵することによって辛みが増すため、貯蔵しない葉生姜は、辛みがあまり強くありません。

そのため薬味にはあまり向きませんが、そのまま食べるととても美味しく、酢味噌をつけると絶品ですよ。

ここでご紹介したものはごくわずかで、生姜には他にもたくさんの種類があり、地域によってもその呼び方は様々です。

次の項目では、“生姜パワー”についてご紹介したいと思います。
【2】生姜パワー
ここでは、「ジンゲロール」「ジンゲロン」「ショウガオール」についてご紹介していきたいと思います。

これらは、生姜の【三大成分】とも言われ、あの“ピリッ”とした辛さのもとになる成分です。

ではまず「ジンゲロール」です。
これは、血管を拡張させて血の巡りをよくすることで、手足の末端まで熱が行きわたりやすくしてくれます。

そのため、冷えの改善などに役に立つと考えられます。
また、殺菌作用・免疫機能の維持・胃腸の働きを整える働きもあります。

次に「ジンゲロン」です。
これは、加熱や乾燥によってジンゲロールが変化して出来る成分です。

ジンゲロンは、生姜の主要な香り成分のひとつで、ジンジャーエールなどの香料にも使用されています。

強力な発汗作用があり、生姜を摂取して体が熱く感じるのはジンゲロンの作用でもあります。

また、近年の研究では、脂肪分解作用の可能性についても報告されているようです。

最後は「ショウガオール」です。
これも加熱や乾燥によって、ジンゲロールが変化して出来る成分です。

ショウガオールは、血の巡りをよくしたり、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑制する働きがあります。

そのため、ショウガオールを摂取することで痛みや冷えの改善に役立つと考えられます。

このように見てみると、生姜は、冷えに大変効果的な食材ということが分かりますね。

また、冷えの改善には加熱や乾燥させた生姜がよりパワーを発揮します。

「冷えは万病のもと」とも言われます。
体温が下がると体の機能も低下し、様々な病気が発症しやすくなります。

特に、現代はエアコンの普及などによって体温調節を司る自律神経のバランスが乱れ、冷え症になる人が増加しているとも言われています。

さらに、食生活の乱れや運動不足、ストレスによっても血行不良が引き起こされ、体温を低下させてしまう原因となってしまいます。

生姜パワーで体を芯から温め、冷えから体を守りましょう!
【3】おすすめレシピ
お料理に入れたり、デザートに入れたり…と様々な場面で活躍する生姜ですが、今回は、「ジンジャーシロップ」の作り方をご紹介します。

ジンジャーシロップは、欧米のデザートに使われることの多い保存食で、季節関係なく1年を通して楽しむことが出来る、とても優秀な食材です。

では材料と作り方です。

【材料】
・生姜:200g
・砂糖:200g
・水:300ml

【作り方】
①生姜をよく洗い、薄切りにします

②鍋に水と砂糖を加えて煮溶かし、10分ほど煮詰めます

③②へ生姜を加えてさらに5分ほど煮詰めたら完成です

とても簡単ですね。

砂糖の代わりにはちみつや黒糖を使ってもOKです!

夏は、炭酸で割ってジンジャーエールにしたり、アイスクリームやヨーグルトに入れるのもおすすめです。

また、冬はお湯で割ったり、ホットミルクやココアに入れてもいいですね。

さらに、紅茶とも相性抜群ですので、夏はアイスティーに、冬はあたたかいミルクティーなんていかがでしょう。

使い終わった生姜は、
乾燥させてから砂糖をまぶして“生姜チップス”としても楽しめますよ。

そのまま食べるのはもちろん、刻んでお菓子に入れたり、様々な使い道があってとても便利です。

最後まで、余すことなく生姜を楽しめるレシピですので、ぜひ一度試してみてください。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
生姜と言えば「お料理(おかず)」といった印象がありましたが、最近では、ドリンクやキャンディー、ケーキなどのスイーツにも使われ、様々な分野で馴染みのある食材になりましたね。

先日、ジンジャークッキーを食べましたが、甘みの中にピリッとスパイシーな風味が加わり、絶妙な美味しさでした。

そんな私ですが、小さい頃は、生姜はすこし大人の味でなかなか美味しいと思えませんでした。

しかし、生姜はピリッと辛くクセのある味にも思えますが、その風味を活かした美味しいお料理がたくさんあることを知り、とても好きになりました。

普段は、薬味や煮魚にはもちろん、寒い季節には、ホットココアに生姜を入れて冷え対策をしています。

また、先ほど紹介しましたジンジャーシロップは、スイーツだけでなく、煮魚や生姜焼きなどのお料理にも使えますし、甘酒に入れると最強の冷え対策メニューですよ。

さらに、ジンジャーシロップについて色々調べていると、ハーブやスパイス(シナモンなど)と一緒に煮込んだものや、唐辛子をほんの少し加えて、生姜の辛みを引き立たせるというワンランク上のジンジャーシロップに挑戦されている方もいました。

一見、“合う合わない”がはっきりしていそうな生姜が、こんなにも何とでも合う食材だったんだな~と、改めて知りました。

最近は、雑誌やテレビでも生姜のもたらす健康効果が大きく取り上げられ、生姜ブームといっても過言ではないくらい、注目されるようになりました。

しかし、まだまだ奥が深い生姜!
これをブームで終わらせず、これからも生姜生活を楽しんでいきましょう~!
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