健康コラム

no.133
テーマ:「鯖」
2018年3月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

いきなりですが、3月8日は何の日でしょうか。

語呂合わせで『鯖(さば)の日』です。

3ヶ月前の健康コラムで“鰤”についてお話ししましたが、今回も魚で、“鯖”についてお話しします。

みなさん、その後、魚を食べていますか?

鰤と同様に鯖にも様々な栄養が含まれていますので、
読み終わった後に、「鯖を食べよう!」と思ってくださるとうれしいです。

今回も恒例?の漢字クイズもあります!!

では、鯖についてみていきましょう。
【1】鯖の栄養について
鯖は食べるけど、栄養のことまで考えたことがないという方も多いと思います。

ここでは、栄養素についてみていきましょう。
(鰤と同様の栄養素も多く含まれていますので、鰤とは別の栄養素を中心に紹介しています。)


◎不飽和脂肪酸(DHA・EPA)
青魚に多く含まれ、どちらも血液の流れをスムーズにする働きが認められています。
(血中のコレステロールや中性脂肪を減らすことにより、血液がスムーズに流れやすくなります。) 

◎ビタミンB2
3大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)を体内で代謝する際に必要となります。
特に、脂質からのエネルギー産生に深く関わっています。
また、発育のビタミンとも呼ばれ、成長の促進にも欠かせません。

◎ビタミンD
カルシウムやリンの吸収に必要なたんぱく質の合成を盛んにすることで体内のカルシウムの吸収を助けます。
また、骨へのカルシウムの沈着もサポートします。

◎鉄
たんぱく質と結合し、赤血球中のヘモグロビンなどの形で存在し、全身に酸素を供給する役割を担います。
鉄の中でも魚や肉などに含まれるヘム鉄は、体内での吸収率が高いことが知られています。

◎タウリン
疲労回復を助けます。
さらに、血圧やコレステロールの調節をサポートします。


おいしいだけでなく、様々な栄養素が含まれていますので、ぜひとも食べてみてください。

魚シリーズ第一弾の健康コラム、鰤について詳しくはこちらをご参考ください。
【2】鯖を食べたらかゆくなる??
鯖の栄養素を知り、食べたくなったという方の中には、「鯖を食べるとかゆいんです」「かゆくなったことがあるから食べない」
という方も少なからずいらっしゃるかと思います。


実は…このかゆみの全てが鯖アレルギーというわけではないんです!


もちろん、かゆみの原因として鯖のアレルギーも考えられます。
鯖アレルギーは鯖のたんぱく質に対してアレルギー反応を起こします。

アレルギー反応はアレルゲンによる刺激を受けて、体の中の肥満細胞がヒスタミンを出すことで起こります。

このアレルギー反応は、鯖に対してアレルギーを持つ人のみが発症します。


しかし、かゆみが出る原因には別のことも考えられ、『アレルギー様食中毒』の可能性もあります。

アレルギー様食中毒は、症状は似ていますが、食物アレルギーとは異なります。

ヒスタミンが多量に蓄積された鯖などを食べると、食後30分~数時間後に顔面紅潮、発疹、吐き気などが現れることがあります。
これはアレルギー反応とは関係なく、誰にでも起こりうる反応です。

しかし、すべての鯖などの青魚に“ヒスタミン”が多い訳ではありません。
では、なぜかゆみが出るほどヒスタミンが多くなることがあるのでしょうか。

鯖以外にも、青魚(ブリ、アジ、イワシなど)やマグロ、カツオなどには“ヒスチジン”というアミノ酸が多量に含まれています。
“ヒスチジン”が多量に含まれる魚に、“ヒスタミン産生菌”が付着すると、ヒスチジンが分解され、多量の“ヒスタミン”が魚の中に蓄積されてしまいます。

ヒスチジンが多く含まれる食品を不適切な管理(常温に放置するなど)をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。

ヒスタミンは熱に安定であり、調理などの加工工程で除去できないので、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。

ヒスタミン産生菌の増殖と酵素作用を抑え、ヒスタミンを生成させないようにするためには、原材料(魚の場合には死んだ瞬間から)から最終製品を食べるまでの一貫した温度管理が重要です。


家庭で出来ることとしては、以下の2点が挙げられます。

・魚を購入した際は、常温に放置せず、速やかに冷蔵庫に入れる。

・ヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れたときには、舌先や唇に通常と異なる刺激を感じることがあるようなので、その時はそれ以上食べないようにする。


アレルギーの方は別として、そうではないのに食べないのはもったいないです。
正しく管理して、様々な栄養素を含む鯖を食べましょう。
【3】鯖街道周辺で誕生した郷土料理
みなさん、“鯖街道”をご存知でしょうか。
関西や北陸の方はご存知の方も多いでしょうが、その他の地域の方にはあまりなじみがないかと思います。

鯖街道とは、日本海の若狭湾から京都へ海産物や物資を運ぶための街道で、特に鯖を運ぶことが多かったため、この名がつきました。

鯖は傷みやすい魚として有名ですが、海から遠い京都(京都市内)まで運ぶため塩漬けにして運んだところ、着くころにちょうど良い塩加減になったそうです。
その鯖を使って作った鯖寿司が京都で人気になりました。

その他にも工夫を凝らし、焼き鯖寿司、鯖の棒寿司、へしこなどがこの街道付近で考案されたと言われています。
どれも今でも鯖街道周辺の郷土料理として残っています。
おいしい鯖寿司のお店などもありますよ。


鯖街道周辺の郷土料理について簡単に紹介します。

◎焼き鯖寿司
鯖を丸ごと1尾開き、竹串を刺して焼く「浜焼き鯖」を使ったお寿司。

◎鯖の棒寿司(鯖寿司)
塩漬けなどで下処理をした鯖を酢で締め、酢飯と合わせたもの。

◎へしこ
鯖に塩を振って塩漬けにし、さらにぬか漬けにしたもの。
新鮮なものであれば刺身としても食べることが出来ます。
温かいごはんにのせてお茶漬けにしてもおいしいです。

また、鯖街道周辺は、2015年、文化庁の日本遺産に、『海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 ~御食国(みつけくに)若狭と鯖街道~』として登録されました。

近くにお出かけの際には、おみやげにいかがでしょうか。
どれもとてもおいしいですよ。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
以前の健康コラムで、魚離れが進んでいるとお話ししましたが、薬局などで、実際にお客様とお話ししていると、魚を食べている方も多くいらっしゃいます。

その時に聞かれることとして、「缶詰の魚でもいいの?」があります。
1人だし、缶詰の方が便利とおっしゃる方や魚の調理が嫌…とおっしゃる方もたまにいらっしゃいます。

個人的な考えですが、「限度を守ればいいと思います。」とお話しします。

以前、缶詰の健康コラムでお話ししたように、利点としては、栄養成分が多く含まれていること、安全で保存性が高いことなど(詳しくは缶詰の健康コラム参照)が挙げられ、魚の場合だと骨ごと食べられるので、カルシウム摂取にも役立ちます。

ただ、保存性を高めるために、塩分や糖分が高くなっていますので、食べ過ぎはもちろんよくありません。

また、魚を全然食べないという方には、最初のとっかかりとして缶詰をおすすめすることもあります。
食べやすさで言うと、水煮よりも、鯖だと味噌煮がおすすめです。

鯖の味噌煮缶は、野菜と煮てもおいしいですし、私は、納豆と混ぜてご飯にのせるのが好きです。
納豆の臭いが気になる私にはぴったりです。
納豆が苦手な方ほどお試しいただきたいです。

鯖寿司に鯖の缶詰、もちろん生の鯖、どれかは食べてみたいと思いませんでしたか。


では、最後に恒例?の魚偏の漢字クイズ!!

鰤・鯵・鰯・鮪・鰹

さて、なんと読むでしょうか。
今回はおなじみの漢字も多いので、分かる方も多いかと思います。
答えは、今回もこの健康コラム内にありますので、よろしければ探してみてください。

ヒントは、“アレルギー様食中毒の原因となる可能性のある魚”です。


缶詰について詳しくはこちらをご参考ください。
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