健康コラム

no.132
テーマ:「海苔」
2018年2月号
※内容は掲載当時の情報です。何卒ご了承下さい。

2月になりました。

あいかわらず寒い日が続いていますが、衣料品は冬物がセールになり、春物が店頭に並んでいたりと、少しずつ冬から春へと移り変わっていくのを感じます。

さて、来週2月6日は『海苔の日』です。

海苔は節分の恵方巻きにも欠かせないことから、2月3日から6日前後の1週間は『海苔ウィーク』として各地でイベントが行われているそうですよ。

今月はそんな『海苔』についての健康コラムをお届けします。
【1】『海苔の日』の由来
なぜ、2月6日が『海苔の日』なのでしょうか。
由来はなんと飛鳥時代にさかのぼります。

日本最古の法典である“大宝律令(たいほうりつりょう)”のなかで、海苔は「紫菜(むらさきな)」という名称で記されており、年貢のひとつとして朝廷におさめられていました。

年貢として指定されていた海産物29種類のうち、8種類が海藻で、海苔のほかにはテングサやワカメなどがありましたが、おさめる量が最も少ないのが海苔だったようです。
それほど貴重品だったことが伺えます。

現代は養殖技術や加工技術が発達し、気軽に美味しく食べられる海苔ですが、その昔は限られた身分の人しか口に出来ない食品でした。

“大宝律令(たいほうりつりょう)”が制定された大宝2年1月1日を西暦に換算すると702年2月6日となるため、海苔に対する感謝の気持ちを込めて『海苔の日』と定められました。

ちなみに当時の海苔は現在のような板状に加工されたものではなく、海で採取されたままのものでした。

その食感からヌルヌルするという意味の「滑(ぬら)」という言葉がなまって、「のり」と呼ばれるようになったとも言われています。
【2】美味しさの秘密
海苔の美味しさを語る上で欠かせないのが「旨み」です。

旨み成分といえば、昆布のグルタミン酸、かつお節や煮干しのイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸などが有名ですよね。

これらは昆布とかつお節の合わせだしのように、組み合わせることで旨みが強くなることが知られています。
これを“旨みの相乗効果”と言います。

海苔には、なんと前述の旨み成分が3種類とも含まれているんです。
これらが全て含まれる天然食品は海苔だけだそうです。

その他にも、12種類のビタミンや鉄、カルシウムなどのミネラル、食物繊維、EPAなど約40種類もの栄養素が含まれています。

旨みたっぷりで栄養豊富。
ご飯のお供としてこれ以上ない存在ですね。
【3】海苔の保管のコツ
美味しい海苔の敵、それは湿気です。

湿気ると味や色が悪くなるだけでなく、栄養も少なくなってしまいます。

必ず密封容器に乾燥剤と一緒に入れ、直射日光の当たらない冷暗所で保管しましょう。
そして「開けたら必ず閉める」こともお忘れなく。

何より早く食べきるのが美味しく食べる秘訣ですが、1ヶ月以上保存したい時にはジッパー付きの袋などに入れて、冷蔵庫に入れるのがおすすめです。

そしてここからがポイントです!

冷蔵庫に入れて保管された際は、すぐに使うのではなく、密封したまま常温に戻しましょう。

いきなり出してしまうと、乾燥していた海苔が急激に水分を吸収し、湿気りやすくなってしまうんです。

また一度湿気ってしまった海苔は、汁物やおそばに入れたり、佃煮にリメイクするのもおすすめですよ。
◇◆管理栄養士の独り言◇◆
皆さん、“まごはやさしい”という言葉はご存じですか。
これは医学博士の吉村裕之先生が提唱されているバランスの良い食事の覚え方です。

「ま」豆類(豆腐、納豆、みそなど)
「ご」ごま
「は」わかめ(わかめ、昆布、ひじき、海苔などの海藻類)
「や」野菜
「さ」魚
「し」しいたけ(しいたけ、えのき、しめじなどのきのこ類)
「い」いも類

1日の食事のなかで“まごはやさしい”の食材を上手く組み合わせることで自然と栄養バランスが整ってくるというものです。

私も普段、食事を作る時や外食でメニューを選ぶ時の参考にしています。
ただ、「は」の海藻類は摂れていないことも多いなと感じていました。

海苔は一度にたくさん食べられるわけではありませんが、ご飯と一緒に食べたり、おそばや卵焼きに入れたりと海藻類のなかでも普段の食事に取り入れやすい食品です。

「そういえば、海苔って身近ですごく手軽に摂れる海藻類だったんだ」
と目からウロコでした。

毎日のちょっとした積み重ねを大事にして、栄養バランスを整えていきたいと思います。

ただし、味付け海苔には塩分や糖分が含まれていますので、食べすぎにはご注意くださいね。

さて、来月の健康コラムは「鯖」についてお届けします。
どうぞお楽しみに!
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