「健康コラム」 第21回 咀嚼のすすめ

「健康コラム」一覧表

2008年11月号(毎月連載)
咀嚼のすすめ


 【1】現代人は卑弥呼の6分の1?

冒頭の数字、正解は「一回の食事での咀嚼(そしゃく)回数」です。

卑弥呼の生きた弥生時代の食事は
玄米のおこわや乾燥した木の実、干物など、
硬くて、噛み応えのある食材で構成されていました。

  木の実干物


それに比べ、現代人の好むハンバーグ、スパゲッティなどの食事は、
あまり噛まなくても食べることができるものばかりです。

現代人の咀嚼回数は、弥生時代の約6分の1。
食品の加工技術の進歩と共に、咀嚼回数はだんだんと減ってきました。

その結果、あごの骨の成長発達が遅れたり、
虫歯や肥満など、噛まないことによって起こる健康問題が懸念されており、
現代では、一口30回を目安に噛むことが理想とされています。



 【2】「卑弥呼の歯がいーぜ」

これは、日本咀嚼学会が提案する噛むことの効用を、
咀嚼回数の多かった弥生時代の卑弥呼にかけて表したものです。

ひ
『ひ』・・・肥満防止
よく噛んでゆっくり食べることで脳が満腹感を感じ、
食べ過ぎを防ぐことができます。

み

『み』・・・味覚の発達
よく噛むことで食べ物本来の美味しさを感じることができ、
味覚が発達します。

こ

『こ』・・・言葉の発達
噛むことにより顔の筋肉が発達すると、
言葉を正しく発音できるようになり、顔の表情も豊かになります。

の

『の』・・・脳の発達
噛むことでコメカミ付近がよく動き、
脳への血流が良くなり、脳の活性化に役立ちます。

は

『は』・・・歯の病気予防
噛むことで歯の表面が磨かれ、唾液もよく出るようになり、
虫歯や歯周病の予防につながります。

が

『が』・・・がん予防
唾液の成分である「ペルオキシダーゼ」には
食品中の発がん性を抑える働きがあると言われています。

い

『い』・・・胃腸の働きを促進
食品を噛み砕いてから飲み込むことで胃腸への負担が軽くなり、
胃腸の働きを正常に保ってくれます。

ぜ

『ぜ』・・・全身の体力向上
しっかり噛むことで歯やあごが鍛えられ、
歯を食いしばったり、全身に力が入るようになります。



 【3】咀嚼ノススメ


「健康にいいからよく噛んで食べましょう」
「目安は一口30回です」

とても簡単なことのように思えますが、
噛む習慣のない現代人にとっては、思った以上に難しいものです。

皆さんも、今日の食事で
自分が一口で何回噛んでいるのかを数えてみて下さい。

意外と早く飲み込んでいることに気付き、
よく噛むことの大変さを実感する人が多いのではないでしょうか。
現代の食事は柔らかく、噛み応えがないものが多いのです。

そこで、普段の食生活で自然と噛む習慣が身につくように、
食材や調理法、食べ方の工夫をご紹介いたします。

@主食を見直しましょう

噛み応えのあるご飯がおすすめです。
玄米や発芽米、胚芽米はプチプチとした食感が楽しめます。

A食材を工夫しましょう

きのこ類、海藻類、根菜類など食物繊維を豊富に含むものや、
切り干し大根、高野豆腐などの乾物、みりん干しなどの干物、
いか、たこ、貝類、こんにゃくなど、
歯応え、噛み応えのあるものを取り入れましょう。

B調理法を工夫しましょう

野菜は大きめに切って、少し歯応えが残るくらいに火を通しましょう。
また、豆や芋なども同様に火を通すと、ホクホクと美味しく食べられます。

C薄味を心がけましょう

薄味にしてよく噛むことで、素材本来の味を楽しみましょう。
塩分や糖分も控えられ、一石二鳥です。

D一口の量を少なめにしましょう

一気に流し込むのではなく、
一口の量を少なくして味わって食べましょう。
口に運ぶ回数が増えると、自然と噛む回数も増えてきます。

E「プラス10回」で30回を目指しましょう

現代人の噛む回数の平均は
一口10〜20回と言われています。
飲み込もうと思ってから「プラス10回」噛むようにしましょう。

Fゆっくり楽しく食事をしましょう

噛むことばかりを意識しすぎて、食事を楽しめなくては本末転倒です。
家族や友達と一緒に、ゆっくり楽しく味わいましょう。



◇◆管理栄養士の独り言◇◆

この夏、久しぶりに会う甥っ子(6歳と3歳)に 少し噛み応えのある自然食のクッキーを買っていきました。

すると、一口食べた彼らの反応は・・・「これ美味しくな〜い」。 (私はこの噛み応えが好きなのですが。)

彼らの口から出されたものを見ると、ほぼ原型のまま。 その後、同じような味の柔らかいクッキーを美味しそうに食べていました。

現代っ子のおやつと言えば、ケーキ、チョコレート、スナック菓子など、 噛まなくても口の中で溶けてしまうようなものがほとんどです。 これでは、子どもたちの噛む力が育たないのは当然かもしれません。

昔のおやつは、干し芋やするめ、煮干しなど、 まさに「噛めば噛むほど味が出る」ものばかり。 そういえば、私の母は台所に立ちながら、 「昔はこれがおやつだったのよ〜」と、煮干しをかじっていました。

今では、スーパーやコンビニで多種多様なおやつが売られていますが、 探してみると、煎り豆や昆布など噛み応えのあるものもたくさんあります。 煎り豆は、大豆を煎るだけで自宅でも簡単に手作りできます。

また、今の季節は、シャリシャリとした歯応えが楽しめる林檎や 噛み応えのある干し芋、干し柿などもおいしいですね。

どうせ食べるのなら、「噛むおやつ」を意識してみませんか? もちろん、食べ過ぎには気を付けて・・・。


笑い